桜が散りはじめると、山椒の木が「今年もよろしく」とばかりに若葉を広げてきます。
山椒の新芽(木の芽)で作る佃煮は、炊きたてのご飯にのせるだけで、それだけで食卓が豊かになるような一品。今回は分量・工程をきちんと記した我が家流レシピをご紹介します。
我が家の山椒の木のこと
木の芽とは、山椒の若葉のこと。指先でそっとつぶすと「ツン」と立ちのぼるあの香りが、春の訪れを教えてくれます。
我が家には、竹藪の隣に義父が元気な頃に植えてくれた山椒の木があります。毎年、忘れずにちゃんと葉をつけてくれる。それだけで、なんだかありがたいような気持ちになるのです。

山椒の新芽(木の芽)の摘み方
桜が終わる4月中旬〜5月上旬ごろ、山椒の新芽が顔を出します。やわらかな黄緑色の葉が、枝の先にふんわりと開いてくるあの瞬間が好きで。

枝にはトゲがあるので、注意しながら摘んでいきます。川のせせらぎと鳥のさえずりを聞きながらの作業は、これだけで十分ごほうびになる時間なのです。
山椒の新芽の佃煮レシピ(普通鍋で作る)
香り高く、ご飯が進む春の保存食。分量と手順をきちんと書き留めておきます。

材料(作りやすい分量)
- 山椒の新芽(木の芽):100g
- 醤油:30ml
- みりん:30ml
- 酒:20ml
※水は一切使いません。やや濃いめ・保存向きの配合です。
アク抜きの方法(ここが肝心)
山椒の佃煮作りで、一番大切なのがアク抜き。ここを丁寧にやるかどうかで、仕上がりの香りと風味が大きく変わります。

- たっぷりのお湯を沸騰させる
- 山椒の新芽を入れ、強火のまま1分30秒〜2分ほど茹でる
- すぐに冷水にとり、20〜30分さらす(途中2〜3回水を替える)
ピリリとした辛みを残したいなら15分、しっかり抜きたいなら30分が目安です。私はピリっとした佃煮が好みなので、冷水にさらす時間を少し短めにしています。
調理の手順と火加減

- 水気を軽く絞った山椒を、細かくザクザクと切る
- 鍋に醤油・みりん・酒をすべて入れ、山椒も加える
- 中火で2〜3分、全体に調味料をなじませる
- 弱火に落として10〜15分、焦げないよう時々混ぜながら煮る
- 水分がほぼなくなったら、弱めの中火で1〜2分軽く煮詰めて完成

仕上がりの目安とコツ
- 鍋底に汁がほとんど残らない状態が目安
- しっとりしているが、ベタベタしない
- 煮詰めすぎると苦味が出るので「やや手前」で止めるのがポイント
- 冷めると味が締まるので、少し薄いかな?くらいでちょうどいい
- 冷蔵保存で約1週間が目安
無農薬で採れたばかりの山椒で作る佃煮は、やっぱり格別。炊きたてのご飯の上に少しのせるだけで、もうそれだけで十分しあわせな食卓になります。

木の芽はほんの少しで和食が変わる
佃煮以外にも、木の芽の使い道はたくさんあります。たった三枚ほどの青葉が、和食をワンランクアップさせてくれる。それが山椒の葉のすごさ。
春のこの時期なら、掘りたてのタケノコとの含め煮が最高です。高野豆腐やフキ、さつま揚げと合わせると、ぼんやりとした甘みのあるやさしいお出汁が出て。

盛り付けるときは手のひらの上で「パンッ!」と山椒の葉を叩いてから添えます。香りがパッと広がって、それだけで気分が上がる。「よし、今日も決まり」という感じ。
ちなみに、同じく手軽に和食の食卓を豊かにしてくれる常備菜として、にんじんしりしりのレシピもおすすめです。彩りもよく、お弁当のおかずにも重宝しますよ。
山椒の三段活用を知っていますか?
山椒は「三段活用の植物」と呼ばれるほど、季節ごとに違う楽しみ方があります。
春(4〜5月):木の芽(若葉)
今回の佃煮や、タケノコとの含め煮に。手のひらでパンと叩いて香りを立てながら料理の仕上げに使うのが定番です。

初夏(6月ごろ):実山椒
ちりめん山椒や佃煮、塩漬けに。初夏が近づくと、実山椒とちりめんじゃこを合わせる作業が始まります。

秋:割山椒(粉山椒)
熟した実がはじけて黒い種が現れます。果皮を乾燥させて挽けば粉山椒に。うなぎや焼き鳥にひとふりするあれです。
自然の恵みに、改めてありがとう
スーパーでは木の芽が10枚ほどで230円前後するのを見かけます。お高い。だから、庭の山椒の木が毎年葉をつけてくれることが、本当にありがたくて。
料理を作るとき、なにげない添え物が「食べてくれる人への小さな気遣い」になると思っています。たった三枚の青葉でも、それがテーブルにあるだけで、食卓の空気がちょっと変わる。山椒はそういう力を持った植物だなと、毎年この季節になると感じます。
春の食卓のおともに、ぜひ試してみてください。
北播磨エリアのおいしいものつながりで、黒田庄の老舗「日の出」の焼き豚もあわせてどうぞ。一度食べたら忘れられない絶品です。


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