※ 初出:2017年1月の記事をリライト。noindex に設定中
2017年1月15日、西脇市にある総合市民センター体育館。
その日、150人の少年少女は、本物のプロ野球選手と同じ空気を吸った。
桑田真澄さんが、すぐそこにいる。
西脇ロータリークラブ主催の「少年少女野球教室」に、桑田真澄氏をはじめとする元プロ野球選手・42年会(絆の会)の方々16名が指導に来られました。カメラマンとして取材を担当した私にとっても、忘れられない一日となりました。


大寒波の日、会場が変わっても子どもたちは集まった
本来は黒田庄ふれあいスタジアムで行われる予定でしたが、何年かぶりという大寒波の大雪で急遽、西脇市総合市民センター(童子山)に変更。屋外でのびのびやるはずが、体育館での開催になってしまいました。
それでも集まった小中学生は、なんと西脇・多可から150名。


42年会(絆の会)とは?
昭和42年生まれの元プロ野球経験者で構成された団体。桑田真澄氏と本田明浩氏を含む16名が参加されました。
各地で野球指導を続けている方々で、開会の挨拶でこんな言葉がありました。
「君たちの指導者が、話されている事と違う部分もあると思います。」
現場のコーチや監督への敬意を示しながら、子どもたちを迷わせないよう配慮した一言。この言葉だけで、このチームの指導哲学が伝わってきました。


2時間半、密度の濃い練習が始まった
150人が4〜5グループに分かれて、キャッチボール・バッティングなどをローテーションしながら練習。体育館という制約のなかで、絆の会のみなさんが工夫しながら密度の濃い時間をつくってくれました。

個別にアドバイスをもらえる子もいれば、それを横で聞きながら自分の動きを直そうとしている子もいます。「大きなおじさん」がそこにいるだけで、子どもたちはなんだか嬉しそう。そういうものですよね。

大島公一氏は「こんな時は、何に気をつけたらいいの?」と子どもたちに問いかけながら、たくさんの声を引き出していました。答えを与えるだけじゃなく、考えさせる。そこにも指導哲学が滲んでいました。


桑田真澄さんと子どもたち
桑田氏は、静かに話す方でした。だからこそ、子どもたちが自然と集中して聞いている。静かな声に、確かな重みがある。

「きたあ…」と、ちょっと緊張している子の顔が忘れられません。


いいボールだったのか、後ろで見ていた子がびっくりしています。

さあ、次は君の番。桑田さんの大きな手が、子どもの肩をそっと包むみたいに添えられていました。


バッティング指導:足のステップ、バットの角度
高学年になると、足のステップの細かいアドバイスが入りました。バットの角度も見てもらっているグループも。


「手先で振ってるよ」――そう声がかかった瞬間、その子の体がスッと変わっていく。


こう!

プロのピッチング、その音が違った
クライマックスは、桑田氏のピッチングデモ。プロの投球を間近で見たのは、あれが初めてでした。
音が、違うんです。
パッシーン~~!!

キャッチャーも真剣な顔で構えます。だって、桑田真澄さんのボールですもの。

連写にしても、私の腕ではとても追いつかない速さでした。

それでもこれが精一杯の一枚。

「パシッ!」
最後の一球は、明らかに音が違いました。見ていた生徒から「おぅぅ…」という声が漏れて、そのあとに拍手。プロのピッチングって、こういうものなんですね。

閉会のご挨拶で、桑田氏はこう締めくくられました。
「野球を好きであり続けていくことで、プロの道も見えてきます。」

野球が大好きで一時代を築いた大人たちと、野球が大好きで夢に向かって走っている子どもたち。そんな温かい空間が、西脇に生まれた一日でした。

二階席の皆さんにも笑顔で手を振って、会場を後にされました。

この日の「絆」が、子どもたちの心にずっと残っていればいいな、と思います。西脇ロータリー様と少年野球関係者の皆様、寒い中お疲れさまでした。
当日の動画
桑田真澄さんをはじめとする元プロ野球選手が、子どもたちに直接語りかける場面は、写真だけでは伝えきれない熱量があります。西脇ロータリークラブ様のご依頼で、3時間弱の講座を数分に編集しました。
(制作当時の屋号:thorough-web / サラ・web)
⚾ 見どころ:終盤の桑田さんのピッチングデモは必見。あの「パッシーン!」の瞬間、球児たちのざわめきが映像でも伝わってきます。
桑田真澄さんの著書を読んで
このイベントが決まったとき、一冊の本を手に入れました。桑田氏の指導哲学に、以前から注目していたんです。

「本、読ませていただきました…で、あのその…サインいただけますか。それから…ブログに紹介してもいいですか」
グダグダ、しどろもどろで伝えたら、桑田さんが笑顔になってくれました。


サインの上に書かれた言葉は、「挑戦」。

この本は、今の野球指導に一石を投じる内容です。
過去のアマチュア選手時代に受けた経験を信じて、無茶な量の練習を課す。勉強や遊ぶ時間のバランスを取らない。いまだに体罰を容認している。
今は、そんな時代ではないんだ。
試合に勝つための技術論ではない。野球を好きで始めた子供たちが、どうしたら楽しくプレーし続けれるか。それを教える指導者。お父さんコーチに最低限知っておいてほしいことをまとめた本です。
桑田真澄氏より
取材を終えて
野球少年をカメラで追い続けてきたご縁から、この日の取材・動画制作をお手伝いさせていただきました。動きのある被写体を撮るのは、何度やっても難しい。プロの投球は本当に速くて、連写でも追いつかないほどでした。
でも、そんな悔しさより、シャッターを切りながら感じた高揚感のほうがずっと大きかった。「ああ、この仕事をしていてよかったな」と思えた一日です。
西脇ロータリー様には、このような機会をいただき、心から感謝申し上げます。



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