※ 本記事は2017年4月の記事をリライトしました。
兵庫県西脇市黒田庄町。ここは、戦国の名軍師・黒田官兵衛の生誕の地と伝えられる場所です。その面影を今に残す黒田城跡(稲荷神社)を、年末に息子と一緒に歩いてきました。息子が小さかった頃はいつも私が引っ張る側だったのに、今回は完全に逆転——そんな、ちょっと笑えてちょっと泣けた冬の散歩記録です。
黒田城跡とは?官兵衛ゆかりの地をおさらい
西脇市黒田庄にあった黒田城は、室町時代の土豪・黒田重勝によって築かれたといわれています。そして、豊臣秀吉の軍師として播磨平定に活躍した黒田官兵衛(孝高・如水)の生誕の地とも伝えられている場所でもあります。
2014年のNHK大河ドラマ「軍師 官兵衛」の放映をきっかけに、この小さな町は一躍注目を集めました。城跡のある山には今も稲荷神社が祀られており、地元の人々の手によって大切に守られています。
現在も山の周辺には、敵の侵入を防ぐために作られた空堀や土塁の跡を見ることができます。歴史マニアの方はもちろん、ちょっとしたハイキング気分で訪れる人も増えています。
稲荷神社(黒田城跡)への登り道
参道入り口の「堀」をわたる
参道に入る手前、小さな川が横断しています。ここ、実はかつての「堀」の役割を担っていたのかもしれません。城跡の遺構として見ると、何でもない小川がにわかに歴史の一部に見えてくる。そういう楽しみ方ができるのが、古城跡めぐりの醍醐味ですよね。


麓から連続する鳥居。これを見た瞬間、「あ、来たな」という気持ちになります。
(撮影:2016年12月年末)
老朽した鳥居が、なぜか美しい

鳥居はかなり老朽化しています。でもそれが、むしろ良い。ぴかぴかに塗り直された鳥居にはない、時間の重さみたいなものがある気がして、妙に好きなんです。
鳥居をくぐりながら、一緒に登っている息子に置いていかれ続けました。
「宗ちゃん。は、は、は、速い。待って待って……まってよ〜」
そのたびに、息子は階段に腰を下ろしてじーっと待ってくれます。かつて子供の頃は私が手を引く側だったのに。「ウン十年前の反対だわ」と心の中でつぶやきながら、ゼイゼイ……言いながら追いつく。
頂部・本殿(主郭付近)に到着
ようやくたどり着いた頂部。本丸があったであろうその場所は、平地になっています。広さはおよそ20m四方——思ったより、こぢんまりしている。でも、ここが官兵衛ゆかりの城の主郭と思えば、なんだか感慨深い。

頂部には可愛い官兵衛の人形がお出迎えしてくれるのですが……正直、風景にはあまりなじんでいない気がして(笑)。個人的には、もう少しシンプルな雰囲気のほうが歴史の空気が伝わると思うのですが、それもまた愛嬌でしょうか。

祀られているのは「正一位清綱稲荷大明神」

本殿に祀られているのは、「正一位清綱稲荷大明神」。年末には瀧尾神社の御當(おとう)の当番組が、掃除と飾り付けを行う習わしがあります。また3月には、当番組や青年団の方々による子供相撲や福引大会など、小さなお祭りも開かれます。
地域の人たちがこうして守り続けているから、この場所はいつ訪れても凛とした空気があるのだと思います。
▼黒田庄の神社の祭りのようすはこちらでも書いています

主郭からの眺め——黒田庄の町並みを見おろす


頂上から見おろす黒田庄の風景は、田畑と山並みが広がる、なんとも穏やかな景色。
大人になりつつある息子が、この景色をどんな気持ちで眺めているのかな——と、隣でこっそり考えていました。
息子は都会が苦手で、大学時代に東京へインターンシップに行ったときも「どうも都会は好きになれん……」とぼやいていたほど。でも自分の道を極めようとすれば、いつかここを離れることになるかもしれない。そのことを、きっと彼自身がいちばんわかっているはずで。
——追記——
結局、彼はこの地を離れることを選びました。さまざまな選択肢のなかで、自分で決めた道です。心まで離れてしまったのかはわからないけれど、いつかまた、この頂上から見た風景を思い出してくれたら、それだけで十分だと思っています。
黒田城跡(稲荷神社)観光ガイド

黒田城跡へのアクセスは、JR加古川線「本黒田駅」から徒歩約8分。駐車場は城跡入口(姥が懐)と荘厳寺にあり、入園は自由です。鳥居をくぐる登山口は急な傾斜ですが、比高はそれほど高くないのですぐ頂上に着きます。山靴でなくても、歩きやすいスニーカーがあれば問題ないでしょう。
| 所在地 | 兵庫県西脇市黒田庄町黒田 |
|---|---|
| 最寄り駅 | JR加古川線「本黒田駅」徒歩約8分 |
| 駐車場 | あり(姥が懐・城跡入口、荘厳寺) |
| 入園料 | 無料 |
| お問い合わせ | 西脇市観光協会 0795-22-3111 |
おわりに——この町の記憶をつないでいくこと
いろいろな時を重ねて、たくさんの人と出会い、自然の壮大さを感じる年になってきました。黒田官兵衛の生誕の地として一躍有名になったこの町も、年に一度の武者行列で「官兵衛」の記憶をつなぎ続けています。
大好きなこの町の良いところを、これからも伝えていきたいと思っています。
▼「黒田の里 官兵衛まつり」のようすはこちら



コメント