※ 本記事は2023年9月の記事をリライトしました。
クラシック音楽を、もっとよい音で聴きたい。そう思ったとき、最初に迷うのがヘッドホン選びではないでしょうか。私もそのひとりでした。2022年8月に購入したオーディオテクニカの開放型ヘッドホン「ATH-AD500X」は、今もなお夜のクラシック鑑賞に欠かせない相棒です。
この記事では、購入から約3年使い続けた体験をもとに、クラシック音楽と開放型ヘッドホンの相性、そしてATH-AD500Xが1万円台でここまでやれる理由をお伝えします。
クラシック音楽に開放型ヘッドホンが合う理由
ヘッドホンには大きく分けて「密閉型」と「開放型」の2種類があります。密閉型は外に音がもれない構造で、通勤・通学など外出時に重宝しますが、音の広がりという点ではやや窮屈な感じがします。
一方、開放型はハウジングに穴が開いていて、音が自然に外へ抜けていく設計。閉じ込められた感がなく、まるで小さなコンサートホールにいるような、あの「空気の中に音が溶けていく」感覚が得られます。オーケストラの弦楽器が重なり合う瞬間、そのふわっとした広がりをちゃんと再現してくれるのが開放型の強みです。
himetei購入前、「密閉型と開放型って具体的に何が違うの?」と全く掴めなかったので、DENONの公式解説ページと、オペラ歌手の車田和寿さんのYouTube動画を参考にしました。車田さんの語り口がやさしくて、すごくわかりやすかったです。
▶ 超初心者のための「ヘッドホンの密閉型、開放型って何?」(DENON公式)
▶ ヘッドフォンのすすめ&購入ガイド!ちょっと良いヘッドフォンでクラシック音楽をさらに楽しもう!(車田和寿‐音楽に寄せて)


ATH-AD500Xを選んだきっかけ──反田恭平の演奏に魅せられて
購入のきっかけは、ショパンコンクール2位入賞で話題になった反田恭平さんの演奏でした。
特にショパン ピアノ協奏曲第1番は、どのフレーズが流れてきても「あの部分だ!」とわかるほど聴き込んだ曲。YouTubeで偶然流れてきた反田さんの演奏のキラキラした表現に、すっかり魅了されてしまいました。繊細なタッチと、ショパンの新しい音の作り方が斬新で。
夜中に、大音量で、思いきり聴きたい。
そのためにヘッドホンが必要でした。ところが当時手元にあったのは安物のヘッドホンだけ。つけてみるものの、臨場感がなくて音がショボい。「これじゃない」感が拭えなかったのです。
▼ 反田恭平さんのショパンコンクール舞台裏に感動した記事はこちら


色々調べた結果、予算内でクラシック用として候補に何度も名前が挙がったのがATH-AD500X。1万円台で買えるのに、なにかと「定番」として評価が高い。クラシック音楽は長時間聴くことが多いので、軽量設計と装着感の良さも重要なポイントでした。





使ってみたら、予想以上に良かったです!
実際に使ってみた感想──3年経った今も手放せない
2022年8月に購入して、気づけばもう3年近く。それでも「別のものに替えよう」とは全然思わない。それがこのヘッドホンへの正直な評価かもしれません。


音の広がりがとにかく自然です。オーケストラの各パートがそれぞれの位置に広がって聴こえてくる感じ、弦楽器の繊細なニュアンス、ピアノの粒立ち。「高音域から低音域まで細かく聴き取れる」という感覚は、安物ヘッドホンとは別世界でした。



聴き比べたとき、衝撃が走るほどクリアな音が聞こえてきました。
装着感も◎。ヘッドホン自体が軽く、イヤーパッドが柔らかいので長時間つけていても疲れにくい。2時間のコンサート映像をじっくり観るときも、耳が痛くなることがほとんどありません。
あと、映画をかけたときに驚きました。後ろや上から音が降ってくるような包まれ感があって。クラシック専用のつもりで買ったのに、気づけば映画鑑賞でも大活躍しています。
ATH-AD500X vs SONY WH-1000XM4「有線で聴き比べてみた」
手元には、ATH-AD500X(2022年8月購入)とSONY WH-1000XM4(2023年4月購入)の2台があります。これまでは完全に使い分けていました。ATH-AD500Xは夜のクラシック・映画鑑賞専用、WH-1000XM4はスマホやパソコンの音楽をBluetoothで気軽に聴くとき用、という感じで。
ところが最近、バイオリンを中心とした弦楽アンサンブルにどっぷりハマってしまいました。特に「石田組」の演奏に惚れ込んで、気づけばそればかり。繊細でありながら芯のある弦の音が、これまで以上に”音の違い”を意識させてくれたのです。
そこでふと思いました。「ATH-AD500Xでも十分いい音だけど、もっと高かったSONYのヘッドホンだとどれくらい違うんだろう?」。WH-1000XM4に有線ケーブル(付属ケーブルが短いためヘッドホン延長ケーブルを使用)をつなぎ、あえて同じ環境で再生してみました。



すると!!なんということでしょう!驚きの結果が。


音の厚み、迫力ともに、ATH-AD500Xの方が明らかに上だったのです。同じ音量設定にもかかわらず、より力強く臨場感のある音が響いてきました。
これ、構造の違いがそのまま出た結果だと思います。開放型ゆえの音場の自然な広がりが、弦楽アンサンブルの空気感の再現にはそのまま強みになる。密閉型は低域の解像度やノイズキャンセリングが得意な分、クラシックの繊細な奥行き表現では開放型にかなわない部分があるのかもしれません。







お値段かなり違うのになあ…。でもデザインはSONY WH-1000XM4の方が好きだし、それはそれで納得して買ったのでぜんぜん後悔していません(笑)
▼ SONY WH-1000XM4の詳しいレビューはこちら


開放型のBluetoothが気になるなら ATH-HL7BT も選択肢に
「開放型の音質が気に入ったけど、Bluetoothにしたい」という方には、同じオーディオテクニカのATH-HL7BTが選択肢になります。LDAC対応・最大20時間再生と、ワイヤレスながらスペックも充実。ただし音は環境や好みで変わりますので、あくまでご参考まで。
「まとめ」1万円台の開放型ヘッドホンで、クラシックの世界が広がった
ATH-AD500Xを使い始めて約3年。クラシック音楽をじっくり聴くための開放型ヘッドホンとし、今も自信を持っておすすめできます。
有線でSONY WH-1000XM4と聴き比べたとき、値段がかなり違うのにATH-AD500Xの方が「音の凄み」で上回っていた。その驚きは、今も忘れられません。



価格差を考えると、予想を大きく裏切られました。
オーディオは個人の好みや環境によって感じ方が変わりますが、少なくともクラシック鑑賞という用途においては、このコスパは本物だと思っています。
コブクロの小渕さんと黒田さんがYouTubeで”小渕さん厳選ヘッドホン”を聴き比べる企画を配信しているのですが、見ていると「これは沼にハマるな…」と実感。ヘッドホン沼、危険です(笑)。でも、沼の入口に立つ前にこの一本を試してみるのは、きっと悪くない選択だと思います。




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