幻想即興曲の練習法|初心者が冒頭から弾けるようになる手順を解説

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幻想即興曲の練習法

「幻想即興曲が弾けたら、どれほどいいだろう」——そう思い続けている人は、きっと少なくないはずです。ショパンの名曲の中でも別格の存在感を持つこの曲。ピアノ経験者でも手こずる難曲でありながら、初心者や再開者がいちばん「いつか弾きたい」と口にする曲でもあります。この記事では、YouTubeにアップされた実践的な練習シリーズをもとに、冒頭部分から順を追って弾けるようになるための練習法を紹介します。筆者自身も挑戦中。「どうしても弾きたい」という気持ちだけを頼りに、一緒に進んでいきましょう。

目次

まずは完成形を耳に入れておく

練習を始める前に、一度だけ通して聴いておくことをおすすめします。頭の中に「目指すべき音」があるかどうかで、練習の質がまるで変わってくるからです。

この曲の正式名称は「即興曲第4番 嬰ハ短調 遺作 作品66」。ショパンが作曲した4曲の即興曲の中で最初に書かれた作品で、クラシック音楽にさほど親しみのない方でも、どこかで必ず耳にしたことがあるはずです。

ところで、この曲には少し複雑な事情があります。ショパン自身は生前に出版を望まず、「自分の死後、楽譜を燃やしてほしい」と親友のユリアン・フォンタナに頼んでいたとも伝えられています。しかしフォンタナはその遺言に背き、1855年にこの曲を『幻想即興曲(Fantasie-Impromptu)』と題して世に出しました。もし遺言通りに燃やされていたら——音楽史の大切なかけらが、永遠に失われていたかもしれません。

幻想即興曲の練習法|vol.1〜vol.8 シリーズについて

今回参考にさせていただいたのは、YouTubeにアップされた8本の練習解説シリーズです。投稿者の方はvol.1の自己紹介で「プロの演奏家ではありません」とはっきり述べています。だからこそ、ピアノを習い直したい人や独学で挑戦中の人にとって、非常に親近感を持って見られるシリーズです。「あ、また間違えた」というひと言や、手元の楽器への向き合い方まで、演奏家の模範演奏では感じられないリアルさがあります。

vol.2から冒頭の両手練習が始まり、段階的に難所を克服していく構成になっています。筆者が特に参考になったのはvol.4。最初にそちらから紹介します。

冒頭部分の練習法|vol.4:「左6音に右8音」をどう合わせるか

この曲の最大の難所のひとつが、冒頭から続く「左手6音・右手8音」の組み合わせです。左右が違うリズムで動くため、頭で考えながら弾こうとすると必ずどこかで崩れます。

このシリーズで紹介されている練習のポイントは、左手をひとつひとつの音としてではなく「和音のかたまり」として捉えること。右手と合わせるタイミングを理屈ではなく感覚でつかんでいく、というアプローチです。

幻想即興曲の冒頭、左6音右8音の練習譜例

13小節目からの難所|vol.8:装飾音符を「間に入れる」感覚

13小節目以降も難所が続きます。ここで紹介されているアプローチは段階的で、まず骨格となる音だけを取り出して両手で合わせる練習をしてから、そこに3〜4音を装飾音符のように「間に入れていく」という方法です。いきなり全部の音を弾こうとするのではなく、少ない音数で形を体に覚えさせてから肉付けしていく——この考え方は、冒頭部分の練習にも応用できます。

幻想即興曲13小節目の譜例
幻想即興曲、装飾音符を加えた練習譜例

練習シリーズ全8本+番外編のリンク一覧

各回は数分〜10分程度。一気に見なくても、弾き詰まったときに該当するvolを開く使い方でも十分です。

このシリーズの良いところは、投稿者が弾き間違えてもそのまま続けるところ。「あ、また間違えた」というコメントに思わず「そうなのよ、流して弾けるのにゆっくりになると途端にわからなくなるんです」と相槌を打ちたくなります。動画に合わせて一緒に弾くのも、練習の一つの楽しみ方です。

参考になる楽譜|版によって難易度の感じ方も変わる

練習を本格的に進めるなら、楽譜は手元に用意しておくのがおすすめです。版によって運指の指示や強弱記号の細かさが異なるので、自分の目的に合ったものを選ぶといいでしょう。よく使われているのは以下の3点です。

【ヤマハ/パデレフスキ編】——日本語ライセンス版で解説が丁寧。初心者〜中級者向け。

著:F. F. ショパン, 翻訳:田村 進, 翻訳:坂崎 則子

【全音ピアノピース】——手に入りやすく価格も控えめ。この曲だけ単品で欲しいときに。

【ヘンレ社原典版】——ショパンの自筆譜に最も忠実とされる版。中級〜上級者や、より深く研究したい方に。

※ pochippブロックのIDは実際の商品に合わせて差し替えてください(下記ASIN参照)
 ヤマハ:4636864611 全音:4119110745 ヘンレ:4636000706

楽譜作成ソフトで見る幻想即興曲

音符の動きを視覚的に確認したい場合は、楽譜作成ソフトで表示した動画も参考になります。音と音符の対応が一目でわかるので、「今どこを弾いているか」が追いやすくなります。

「どうしても弾きたい」なら、今日始めるのが最短ルート

ある質問サイトで見かけた投稿が、ずっと頭に残っています。「幻想即興曲をどうしても弾きたい。独学では無理ですか?」という問いへの答えがこうでした。

「どうしても弾きたい」なら、今すぐ始めるのが一番早い方法です。どのくらいで弾けるようになるかは、まったくわかりません。楽譜が読めるかどうか、耳がどれくらい良いか、個人差がとても大きいからです。でも、どうしても弾きたくて練習を続ければ、いずれはきっと弾けるようになります。

2年かかるのか、5年かかるのか、10年かかるのかは誰にもわかりません。ただ、今日始めなければ、どれだけ時間が経っても「まだ始めていない人」のままです。

筆者自身、三日鍵盤から離れると手がすっかりかたくなってしまう年齢になりました。それでも、少しずつ弾き続けています。どうにもならないと感じたときには、ピアノの先生の門を叩くことも選択肢のひとつ。でも、まずは自分で試してみる。そこから始まります。

ピアノの鍵盤

今日より遅い日は、ありません。弾きたいと思っている方は、一日でも早く鍵盤に触れてみてください。昔弾けていた方も、もう一度。一緒に頑張りましょう。


著者:秘亭(himetei)
兵庫県加東・多可エリア在住。カメラ、ガジェット、地元グルメ、ライフスタイルをテーマに「秘亭のネタ」を運営。ピアノは長年の「いつかやる」リストの筆頭で、幻想即興曲は現在も挑戦中。

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