👉「※本記事はドラマを何度も見返した筆者の感じた魅力や印象をもとに書いています。」
ドラマを観て、こんなに繰り返し同じシーンを巻き戻したのは初めてでした。
切なくてドキドキするシーンに引き込まれる瞬間…そして、あの旋律がそっと流れ出す。
「カルテット」というドラマは、何度も見たくなる魅力があります。Amazonプライム・ビデオで視聴可能です。
ピアノを長年弾いてきた私ですが、ここまでドラマのBGMに心を奪われたのは久しぶりでした。とくに第8話、あの妄想シーンで流れる音楽。
リスト「6つのコンソレーション 第3番」。
静かに寄り添うように始まり、気づけば物語の感情と重なっていく…その美しさに、思わず手を止めて聴き入ってしまいました。
カルテット8話すずめちゃん妄想のBGMが切ない/Amazonプライム・ビデオ
脚本を手掛けるのは、坂元裕二氏。松たか子主演、満島ひかり、高橋一生、松田龍平らの共演です。

このドラマは、4人の男女が軽井沢のコテージで共同生活をしながら弦楽四重奏団を結成するストーリー。恋愛・ミステリー・人間ドラマが絶妙に絡み合った坂元裕二ならではの脚本で、中盤からの伏線回収が見事です。
そして、物語の随所で鳴るBGMが、セリフよりも雄弁に登場人物の心情を語ってくれます。特に第8話、すずめちゃんの妄想シーンで流れるあの旋律は、切なさを何倍にも増幅させていました。

良い作品には「音楽」が、欠かせない重要な役割を担ってる……。音楽が感情の「翻訳者」になっているんだ、と実感しました。


満島ひかりが演じる「すずめちゃん」は、普段は天然でガサツなキャラクターです。だからこそ、第8話の終盤に突然現れる乙女な一面が、あれほど刺さるのだと思います。
彼女の演技は、表情だけでなく、間の取り方・呼吸・視線の動きまで細かく計算されていて、観ているこちらが息を飲む瞬間が何度もありました。


第8話の妄想シーンで流れるBGM:リスト「6つのコンソレーション 第3番」
Consolations, S.172(Liszt, Franz)
一番心を奪われたのが、第8話の終盤36:40あたりから始まる場面です。飾らない雰囲気の役どころが、ふいに乙女に変わる瞬間。そこに重なるリストの「慰め」の旋律が、切なさを何倍にも増幅させていました。
すずめちゃんの妄想の中でだけ成立する、淡くて儚い世界。その世界観と「コンソレーション(慰め)」というタイトルが持つ意味が、見事に重なっています。
なぜこの曲がこのシーンに合うのか?ピアノを弾く者の視点から少し考えてみると──「コンソレーション第3番」はニ長調(D♭major)の静かな曲で、旋律が非常にシンプルです。派手な技巧はない分、音と音の「間」に余白が生まれます。その余白こそが、すずめちゃんが口に出せない感情をそっと包み込む器になっているように感じました。
【カルテット 8話】は36:40からのシーンが特に必見です。最初から通して観てこそ、このシーンの深みが心に沁みてきます。


すずめちゃんの淡い片思いは、切なくてせつないけれども、同時に愛らしい。話を巻き戻しては涙し、また巻き戻しては涙してしまう。そんな体験をしたのは、このドラマが初めてでした。




彼女の深い寂しさが伝わってきて、一滴の涙と共に心に強く響きました。
自分で弾いてみた「リスト: 6つのコンソレーション 第3番」
あまりにも美しい旋律に魅了されて、ドラマで流れていた「リスト: 6つのコンソレーション(慰め) 第3番」を自分で弾いてみたいと思い楽譜を取り寄せました。
楽譜を見た第一印象は「これは弾けそう」。始まりはppp(ピアノピアニッシモ)…極めて弱く、淡い粉雪に触れるように。見た目はシンプルな譜面です。


この作品は、リストの作品の中では技巧的には易しい部類とされています。簡素ではあるけれど叙情性に富み、愛らしさに満ちた魅力的な小品です。……と、思っていたのですが。
簡単そうに聞こえて、イヤイヤとんでもない。
手こずりそうだと確信したのは、最初の1小節から❗️



早すぎ?!
右手が「5連音符」で、左手が「3連音符」という組み合わせ。右手と左手のタイミングがずれているため、縦に音符を合わせようとすると途端に破綻します。


「縦」で楽譜を見ているうちは絶対に弾けない。
これは、今まで弾いた曲の中で「実は無謀だった」ベスト5に確実に入ります。
コツは、楽譜を「縦の和音」ではなく「横のフレーズ」として読むこと。旋律の流れとして捉えることができてから、ようやく最後まで通して弾けるようになりました。
しかし音楽になっているかどうかは……まだまだ。
なんて曲に惚れてしまったのか!しばらく格闘が続きますが、頑張ってみます。
カルテットはAmazonプライム・ビデオで視聴できます
「カルテット」はAmazonプライム・ビデオで全話配信中です。プライム会員であれば追加料金なしで視聴できます。まだ観ていない方には、ぜひ第1話から通しで観ることをおすすめします。第8話のあのシーンが、より深く胸に刺さります。


あとがき
ドラマのお話が進む度に、じんわりとくる物語でした。恋愛ものにサスペンス要素も入っていて、中盤から一気に引き込まれてしまいました。
良い作品を見ると心が豊かになります。そして、良い作品には音楽が欠かせない重要な役割を担っていると、改めて実感しました。
「作品に音を付ける」ということは、決してひとことでは言えない奥深さがあります。セリフが語れない感情を、音楽はたった数小節で伝えてしまう。リストのコンソレーションが、それをこれほど鮮やかに見せてくれるとは思いませんでした。
そして、この曲を知ったことで私の新しい扉が開いたような気がしました。頑張って練習しよっと……。



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