城崎温泉へ行った翌日。
「さて、今日はどこへ行こうか」と考えながら、結局いつもの道を走っている。
向かう先は、兵庫県豊岡市の出石(いずし)。
城崎温泉から車を走らせること約30分。町並みが少しずつ変わり、出石の城下町が見えてくると、「今年もここまで来たな」と、なんだかホッとする。
出石は年に一度は訪れたくなる場所。そして、出石まで来たら食べずには帰れないのが、名物の皿そばです。その中でも、昔からお気に入りなのが「さらそば 甚兵衛」。
おいしいのはもちろん、店の佇まいや、お庭を眺めながらそばを待つ時間まで含めて好きなお店です。
今回は、そんな出石皿そば 甚兵衛で過ごした時間を、そば好きの方にも楽しんでもらえるように紹介していきます。
出石に来たら、やっぱり「皿そば」
出石そばと聞いて、まず思い浮かぶのが、あの小さな皿。
一皿に盛られているのは、ほんの数口分ほど。大きなお盆にどんと一人前が出てくる普通のそばとは違い、何枚もの小皿に分けて運ばれてきます。
この「少しずつ食べる」スタイルが、なんとも楽しい。
最初は「これで足りるかな?」と思うのに、薬味を変えながら食べていると、もう一皿、もう一皿……と、気づけばお皿が積み上がっています。
出石皿そばは、一般的に5皿で一人前とされるスタイル。小皿にはさまざまな絵柄があり、どんなお皿が出てくるのかを見るのも、ちょっとした楽しみです。
食事なのに、どこか遊び心がある。
これも出石皿そばが長く愛されている理由なのかもしれません。
そして、そばのおいしさを支えるのが、いわゆる「三たて」。
挽きたて、打ちたて、茹でたて。
甚兵衛さんでは、特に「挽きたて」にこだわり、時期によってそば粉の産地を変えながら、出石のおいしい水と熟練の技でそばを仕上げています。

「ここ、好きだな」と思わせてくれる甚兵衛の店構え
13時頃に到着すると、すでに20~30分ほどの待ち時間。
人気店なので、待つこともあります。
でも、不思議と「早く食べたい!」と焦る感じがしない。
店の外には池があり、鯉がゆったりと泳いでいる。水の音や庭の景色を眺めていると、待っている時間まで旅の一部になっていくような気がします。
こういう時間って、普段のランチではなかなかありません。

店内も落ち着いた和の雰囲気。
茶室を思わせるような座敷席のほか、堀こたつの席やテーブル席もあります。
席に着いて、庭の緑を眺めながら「さて、何皿食べようかな」と考える。
この時間も、私は結構好きです。
まずは何もつけずに。そばの香りを楽しみたい
今回いただいたのは、一人10皿。

せっかくなので、最初の一皿は何もつけずに、そのままいただきます。
細めのそばは、しっかりとしたコシがありながら、するっと喉を通っていく。
口の中に広がるそばの香りを楽しんでから、今度はつゆを少し。
そして、薬味を加えてみる。
この「少しずつ味を変えていく」食べ方が、出石皿そばの楽しいところです。
薬味は、ねぎ、わさび、大根おろし、とろろ、卵。大根おろしを加えると、さっぱりとした味わいに。とろろを入れると、そばの喉ごしがさらに滑らかになります。
わさびは少しだけ。途中で入れると、味がキュッと引き締まって、また箸が進みます。
「次はとろろにしよう」「今度は大根おろし」とやっているうちに、あれ? もうこんなに食べた?となる(笑)。これが、出石皿そばのちょっと危険なところです。
お皿が積み上がっていくのも、出石そばの楽しみ
一枚食べ終わるたびに、お皿がひとつ増える。
気づけば、テーブルの上に小さなお皿がずらり。
周りを見ても、追加注文している方がちらほら。みなさん楽しそうにそばを食べています。
「あの人、何皿いったんだろう」なんて、つい気になってしまうのも面白いところ。
たくさん食べられる方なら10皿、15皿と進めてもいいし、少食ならまず5皿くらいから始めて、足りなければ追加するのでも十分。
自分のペースで楽しめるのも嬉しいところです。
そして最後は、やっぱり蕎麦湯。
これも楽しみのひとつ。
卵を入れる前の出汁で割ると、すっきりとした味わい。卵入りの出汁なら、まろやかな蕎麦湯になります。
最後の一口まで、そばを楽しめるのがいいんですよね。
甚兵衛は「ミシュラン ビブグルマン」にも選ばれたお店

そんな甚兵衛さんは、「ミシュランガイド兵庫2016特別版」でビブグルマンを獲得しています。
ビブグルマンは、星とは別のカテゴリーで、手頃な価格で質の高い料理を提供するお店を紹介するもの。
昔から好きで通っていたお店なので、掲載されたと知ったときは「やっぱり、おいしいもんな」と嬉しくなりました。
その一方で、「これからもっと混むのかな……」と、ちょっと複雑な気持ちになったのも正直なところ(笑)。
ちなみに、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにも出石の町が掲載されています。
そばを食べるだけではなく、古い城下町を歩いたり、町並みを眺めたり。そう考えると、出石そのものを楽しみに来るのもいいですね。
📍 さらそば 甚兵衛(出石手打ち皿そば 甚兵衛)
〒668-0256 兵庫県豊岡市出石町小人14-16
TEL:0796-52-2185
公式サイト:http://www.jinbe.com/mise/
※営業時間・定休日・料金は変更になる場合があります。ご来店前に必ず公式サイトまたはお電話でご確認ください。
そばを食べたあとは、出石の町をぶらり
お腹いっぱいになったら、すぐに車へ……ではなく、せっかくなので出石の町を少し歩いてみるのもおすすめです。
城下町らしい風景を眺めながら歩いていると、食後の散歩にちょうどいい。
「さっき10皿も食べたのに、もう少し歩いたら甘いものが欲しくなってきた」なんてこともあります(笑)。
我が家は、出石のあとに豊岡へ寄り道
そして我が家の場合、出石でそばを食べたあとは、少し足を延ばして豊岡へ。豊岡といえば、やっぱりかばんの町。
あるとき、出石でお腹いっぱいになったあと、豊岡のかばんを見に行ったことがあります。「ついたぞ」と主人の声に目を覚ますと、目の前に倉庫。
「……倉庫?」と思ったのですが、中に入ってみると、革製品がずらり。
正直、倉庫だったのであまり期待していなかったのですが、これがなかなか面白い。しっかりした縫製のバッグや革製品が並んでいて、ついつい長居してしまいました。
城崎温泉の翌日は、出石でそばを食べる
我が家の場合、城崎温泉へ行った翌日の昼食は、いつの頃からか出石そばが定番になりました。
車の窓から見える但馬の景色を眺めながら出石へ向かい、そばを食べて、町を少し歩いて、時間があれば豊岡にも寄る。
こうして振り返ると、そばを食べることだけではなく、その一日の流れそのものが好きなのかもしれません。
おいしいものを食べて、きれいな景色を見て、少し歩いて。そんな何気ない旅の一日が、あとから思い出すと妙に心に残っていたりします。甚兵衛さんのそばも、私にとってはそんな思い出のひとつです。
出石に行ったら、また食べたくなる皿そば
「おいしいそば」といっても、好みは人それぞれ。
細いそばが好きな人、太めのそばが好きな人。香りを楽しみたい人、喉ごしを大切にする人。
だから「ここが一番」と簡単には言えないけれど、私にとって甚兵衛さんは、「また出石に来たら食べたい」と思えるお店です。
小さな皿に盛られたそばを一枚ずつ味わって、薬味を変えて、最後は蕎麦湯。
食べ終わるころには、お腹だけでなく、なんとなく気持ちまで満たされている。
そんなところが、出石皿そばの魅力なのかもしれません。
城崎温泉へ行く予定がある方や、但馬方面へドライブする方は、ぜひ出石まで足を延ばしてみてください。
そして、もし甚兵衛さんへ行ったら、最初の一皿だけでも、何もつけずにそばを味わってみてください。
そこから薬味を少しずつ変えていくと、きっと「もう一皿食べようかな」となるはずです(笑)。
出石の町を歩きながら、次に来る日のことを考える。出石そばはそんな「また来たい」と思わせてくれる味です。
📍 さらそば 甚兵衛
〒668-0256 兵庫県豊岡市出石町小人14-16
TEL:0796-52-2185
ミシュランガイド兵庫2016特別版 ビブグルマン獲得
公式サイト:http://www.jinbe.com/mise/
※営業時間・定休日・料金などは変更になる場合があります。ご来店前に必ず公式サイトまたはお電話でご確認ください。
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