※ このサイトでは珍しいエッセイジャンル。2018年6月の初公開記事を、久しぶりにリライトしました。
田舎暮らしへの憧れは、若い世代にもリモートワーク世代にも広がっています。でも、移住して後悔しないために知っておくべきことがあります。お嫁に来て30年以上が経つ私が、地域の慣習やお金のリアルを、経験をもとにお伝えします。
ほんの1ヶ月前に植えたジャガイモとえんどうの苗が、
こんなに大きくなっています。
田舎暮らしへの憧れ、その前に知っておくこと
BGMは小鳥のさえずり。
車の音などなーんにもない。それだけで、深呼吸がひとつ違います。
週末には田植えが始まる季節。水を張った田んぼが、空を映している。
自然の中で暮らしたい、という気持ちはどこから来るのか
「田舎暮らし」への関心は、団塊世代のセカンドライフに限らず、2020年代以降は30〜40代の現役世代にも急速に広がっています。コロナ禍でのリモートワーク普及が、働く場所を選ばない暮らしを現実のものにしたからです。
どんな瞬間に、田舎暮らしを思い描きますか?
スマホの青い光を見ながら「今のトレンドはこれか」と流れを追うより、空の色や木々から漂う季節の匂いをすっと吸い込みたい。疲れて帰って夜のスーパーの見切り総菜を手に取るより、まだ土のついた野菜をまるごと食べたい。そんな気持ちの積み重ねが「移住」という言葉を引き寄せるのでしょうね。
ただ、「何でもお金で手に入る生活はもういい」と勢いで引っ越す前に、田舎ならではの慣習やしきたりをしっかり調べておくことをおすすめします。
この記事を書いたのは
お嫁に来て30年以上が経ちます。田畑のある集落に暮らし、地域の行事や慣習をずっと身近に感じてきました。移住を考えている方が知っておくと良いと思うことを、経験をもとにお伝えします。
田舎暮らしで最初にぶつかる壁:地域との交流
田舎暮らしとは、自然の中に住むことだけではありません。その土地のコミュニティに入る、ということでもあります。
物価が安く、空気がおいしい。それは本当のこと。でも、都会生活しか経験のない方が良い面だけを見て移住すると、思わぬカルチャーショックを受けることがあります。実際、田舎暮らしに憧れて移住したものの、肌に合わずに戻られる方がいるのも事実です。
よく聞く理由が、こんなふたつ。
- 地元の方との交流が煩わしく感じる
- 草刈りや溝掃除など、地域の奉仕作業が負担
近くの町に移住された若夫婦の話を紹介します。大阪出身のご夫婦で、お子さんの喘息をきっかけに奥さまのご実家近くに家を建てられました。ご主人はリモートワークのエンジニア。場所を選ばない働き方を活かしての移住でした。
ところが、草刈りや消防団活動が負担だとブログに書いておられて。今はもう慣れられたそうで、良かったと思っています。
地域の奉仕活動は、慣れるまでが正念場。そこを少し踏ん張れると、新しいライフスタイルが本当の意味で根を張ってきます。
※参考:【兵庫・多可町】古民家レストランBotan|感動の創作ランチを体験 ─ 地域に根ざした古民家の魅力を知りたい方にも読んでほしい記事です。
移住前に知っておきたいお金のしきたり
もうひとつ、見落としがちな話。お金のことです。
住民税や水道代が自治体によって異なるのと同じように、町内レベルでも「しきたり」があります。冠婚葬祭のお付き合いは、都市部とは大きく異なることが多い。
冠婚葬祭のしきたりは地域によって全然ちがう
私の住む地域の場合、冠婚葬祭のしきたりは比較的ゆるやかです。これは、これから移住される方より、この土地にお嫁に来る方が知っておくと良い話かもしれません。
冠婚については、義務はほぼなし。お祭りの乗り子へのお祝いもいつしかなくなり、その分、大太鼓・小太鼓が練り歩く際のご祝儀を奮発する形に変わったと聞きます。
葬祭は、隣保のお手伝いがあるので1日半ほどお仕事をお休みします。休めない方は無理せず、他の方がカバーする。お互いさま、という空気が自然にある地域です。
お香典について言えば、面識のない方でも村の誰かのご不幸があれば持参します。金額は家の帳簿に記録してあり、過去にいただいた額と同じをお返しするのがならわし。
himeteiここ!大事なポイント。
各家には村の有線放送が入っていて、訃報もそこから流れます。「今時、有線放送?LINEじゃないの?」と思うかもしれませんが、これが意外と受け入れやすい。
行事の連絡、警報、学校や子供会のお知らせ。また大雨の夜にサイレンと一緒に流れると緊迫感がありますし、子供会のクリスマス会の終了放送を聞いて公民館に迎えに行った記憶は、今もほっこりします。
税金以外にかかる村の協議費・水儀費
村の維持に使う運営費として、税金とは別に「協議費」を納めます。祭りや行事、共有施設の修繕費に充てられるもので、土地を持てば管理費、水田があれば水儀費も必要になります。
水儀費とは、田植えから収穫までの水管理を担う方への報酬。「水の取り合いで揉めないように」という、昔ながらの知恵です。これも田舎暮らしの必要経費として、頭に入れておくと良いでしょう。
お寺の檀家づきあいと大修復の寄付
お寺を信仰されない方は読み飛ばしてください。
地方では多くの家が地元のお寺の檀家に入っています。移住された方がこのあたりをどう判断されるか、正直気になるところです。
我が家で最近大きかった出費は、「荘厳寺の平成大修復」への寄付。200〜300年に一度の大がかりな修復は、檀家の寄付で賄われることが多いです。寄付額は戒名・法名のランクによって決まります。先祖代々「院」の字がついた法名をいただいているウチは、軽〜く車一台分の額でした。_| ̄|○
サラリーマン家庭には正直、痛い出費。でもそれが先祖から続く村に住み、家を継ぐということなのだと思っています。
ちなみに爺ちゃまは、ご存命の時に荘厳寺の門を寄付されたそうです。門柱の裏に名前が彫ってあって、初めて見たときはびっくりしました。
(※注釈)我が家は、けっして裕福ではありません。


それでも、田舎は豊かです
・・・とはいえ、田舎は良い。
自宅で映画を大音量でかける。休みの日は庭でビールを飲みながら洗車する。友人とBBQをする。庭で花火をする。田舎ではあまりにも当たり前すぎて、自慢にすらなりません。でも、これはお金では買えない豊かさだと思うのです。
古民家再生への関心が高まる今、地方移住はますます身近な選択肢になっています。たとえば、城崎温泉 あさぎり荘の絶品かに懐石のような、地域ならではの文化や食を目当てに訪れる方も多い。田舎の暮らしは、そうした豊かさの積み重ねです。
良い面だけでなく、自分に合わない部分もきちんと調べて、納得した上で移住することをおすすめします。30年以上住んで思うのは、それだけです。
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振り返ると、このお接待が、ここ数年で一番大変だったことかもしれません。買い出し、料理、準備、当日の対応、そして片付けまで。トータルで考えると、なかなかのボリュームです。
でもまあ、これも「この旦那と結婚したおまけ」ということで。(笑)
無事に終わって、本当に良かった。それだけです。




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